90年代の国産車代表! ホンダ「NSX」という世界初のアルミモノコックボディ量産車【連載】90’s ノスタルジア・オン・ホイールズ(14)

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1990年代は、バブル崩壊後も未来への夢と希望に満ち、国内の自動車産業も活況を呈していた。本連載では、当時のクルマ文化を探るとともに、興奮を読者に甦らせる。

黄金時代の自動車革命

ホンダNSX(画像:本田技研工業)
ホンダNSX(画像:本田技研工業)

 1990年代は、日本の自動車メーカーが自由な発想での量産市販車を市場に送り出していたという意味では、日本の自動車史のなかでは特異な時代だった。

 もちろんこれは突然訪れたわけではない。1980年代から継続していた好景気が1986(昭和61)年末から1987年に掛けていわゆるバブル景気として爆発。高騰をつづけていた土地神話を背景とした潤沢な銀行資金はクルマ業界に流れ込んで来た。

 ちょうどこの頃、日本車は

「ターボエンジンの高性能化」

など、技術的な革新が進んだ。好景気を背景とした潤沢な資金。そして魅力的な新技術。これらの相乗効果で自動車業界が活性化したのがまさしくこの時代だった。

 ホンダNSXはちょうどバブル経済真っただなかの1989(平成元)年にホンダのフラッグシップとなるべきプロトタイプとして発表された。発表の時点での完成度は極めて高く、早い時期での市販化も予感させるものだった。そしてその予想どおり、翌1990年9月に発売された。

 ホンダNSXのスタイルとスペックはともに刺激的だった。ホンダとしては初の量産ミドシップ2シータースポーツカー。量産市販車としては世界初というオールアルミモノコックボディ。エンジンは3リッターV型6気筒DOHCであり、ホンダの“お家芸”というべきハイテクである可変バルブタイミング/バルブリフトのV-TECも装備されていた。

 そのスタイルはあくまで低くワイドなスポーツカーとして好ましいものだった。しかし実用性能に対する配慮にも抜かりはなく、運転操作に対して気難しい箇所は一切なかった。

 さらにその充実したスペックを裏付けるかのように販売価格も極めて高価であり、

「800万円」

というその価格は、まさしくホンダのフラッグシップにふさわしいものだったといってよいだろう。

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