90年代の国産車代表! ホンダ「NSX」という世界初のアルミモノコックボディ量産車【連載】90’s ノスタルジア・オン・ホイールズ(14)
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30年以上の時を超えた魅力

ホンダNSXは本格的に量産体制が整った1991(平成3)年に至り、誕生する上で大きな動機となったバブル経済が崩壊という逆風にさらされることとなった。
その結果、発売直後からの注文殺到は多くのキャンセルとともに解消することとなったが、クルマの価値がそれで毀損(きそん)されたわけではなく、生産ペースに余裕が生じたこともあって、
「本当に必要な人のもとに確実に届ける」
というスタイルで生産は継続された。
発売から約15年が過ぎた2005年7月。海外での新しい排ガス規制への対応が困難となることが確実になったこと。さらに生産開始から既に長い時間が経過していたこともあり、同年12月での生産中止が発表された。
この間、大々的なモデルチェンジは行われなかったものの、スペックやディテールの変更は適宜行われており、その中でも1992年の終わりに追加された高性能バージョンであるNSXタイプRは、さらなるイメージアップに大きく貢献した。
NSXにおける「R」はタイプRの後にはNSX-Rが2002年に投入されているが、こちらは専用の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のボディパーツなどが採用された軽量化モデルだった。
生産開始から終了までの総生産台数は1万8734台。このなかで日本国内での販売台数は7415台である。興味深いのは日本国内で販売されたなかの大部分は1991年までに受注した初期型であり、1990年代半ば以降の生産モデルや、いわゆるRが付くモデルはいずれも極めて希少である。
NSXは、ホンダがその総力を注ぎ込んだ1台という意味では、まさしく
「1990年代の国産車を代表するモデル」
だった。現時点で既に30年以上も前の設計ではあるが、依然として熱心なファンのもとで、販売された個体の多くが生存している。
1990年代の日本車は、全てのメーカーに共通した現象として次から次に新型車が登場し市場はにぎわった。その一方で後継車が産まれず一代限りとなったモデルも少なくない。
そうしたなか、情熱あるファンのもとで大切にされている個体が多いNSXは、クルマとしては幸運な余生を送っていることは間違いない。願わくば、日本車の歴史に重要な足跡を残した存在として1台でも多く生きながらえてほしい存在である。