燃費は最悪! マツダ「コスモ」のドライブフィールはそれでも“異次元”の3ローターだった【連載】90’s ノスタルジア・オン・ホイールズ(10)
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性能の新次元
1989(平成元)年、マツダは折からのバブル景気のなか、販売台数拡大を目指してディーラーチャンネルの増加を実施した。そのなかのひとつがユーノスである。
このチャンネルで販売するクルマは、マツダの名ではなくユーノスを名乗っていたのも特徴である。その初代モデルが大ヒット作となる2シータースポーツカーのユーノス・ロードスター。それに続いて投入されたのがユーノス・コスモである。
マツダにとってコスモという車名は初代が1967(昭和42)年にデビューしたという極めて長い伝統を誇る存在だった。初代はマツダにとっての代名詞ともいえるロータリーエンジンを最初に搭載した2シータースポーツカー。2代目と3代目はスポーツカーからは離れたプレミアムGTというべきモデルに変化していたものの、ロータリーエンジンの搭載は継続されていた。
そして1990年4月、前述のとおりユーノスの名を冠したニューモデルとして投入されたのがユーノス・コスモである。そのキャラクターはマツダの全モデルを通じてのフラッグシップというべきもの。ボディは流麗かつ端正な2ドアクーペ。エンジンは初代モデル以来のロータリーエンジンのみの設定だった。
そのエンジンは多くの実績を積み重ねて来た2ローターの13Bのほかに、世界初という3ローターを採用した20Bを搭載。いずれもシーケンシャルツインターボと組み合わせることで、20Bは280psの自主規制値を難なくクリアしていた。このエンジンは試作時には量産使用で330psオーバーを記録していたといわれている。3ローターエンジンは2ローターに対してパワーだけではなく滑らかさも大幅に上回っていた。
ユーノス・コスモは販売開始とともに大きな注目を集めることとなる。その3ローターエンジンはもちろんのこと、スタイルのよさ、豪華な内装、世界初の衛星利用測位システム(GPS)カーナビなど、話題には事欠かない存在だったといってよい。ちなみに価格は最上級の3ローターGPSカーナビ標準装備仕様で
「532万5000円」
と従来のコスモとは一線を画していた。