ミラーサイクルエンジンの先進性! マツダ「ユーノス800」という超ハイテクセダンが駆け抜けたバブル崩壊後の日本【連載】90’s ノスタルジア・オン・ホイールズ(12)

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1990年代は、バブル崩壊後も未来への夢と希望に満ち、国内の自動車産業も活況を呈していた。本連載では、当時のクルマ文化を探るとともに、興奮を読者に甦らせる。

先進技術搭載のスポーティーセダン

ユーノス800(画像:マツダ)
ユーノス800(画像:マツダ)

 1980年代末から1990年代半ばに掛けて、日本の自動車メーカーがリリースするラインアップは、まさに多種多彩。あらゆるカテゴリーのクルマであふれていた。そのなかでもメーカー自身がとりわけ力を入れていたのはセダンである。

 現代ではほぼ絶滅危惧種になっているセダンこそは、それぞれのメーカーがカンバン代わりに掲げていたまさに代表機種。そうした流れのなかで、マツダが市場に送り込んできたハイテク満載のセダンがユーノス800だった。

 ユーノス800は1993(平成5)年10月に翌1994年型のイヤーモデルとして発売された。この時点で既にバブル経済は崩壊していたものの、開発自体はバブル真っ盛りの1990年代初めにスタートしていたのは明らかだった。

 ボディ形状は、1993年当時に人気だったロープロファイルのスポーティーなミドルサイズの4ドアセダン。セダンとはいえ、スポーツイメージを強調していたユーノス・ブランドから出しただけに走りの良さを予感させるものだったといってよいだろう。そして、その高性能さは単なるイメージに止まらず具体的なメカニズムの面でもその先進性が大胆に盛り込まれたものとなっていた。

 先進性のひとつ目は、ミラーサイクルエンジンだった。ユーノス800はV型6気筒エンジンをフロントに搭載し前輪を駆動するFFセダンだったのだが、その最上級グレードに搭載されていたのが2.3Lのミラーサイクルだった。

 ミラーサイクルとは、4ストロークサイクルの圧縮行程に対して燃焼後の膨張行程を長く取ることで熱効率の向上を図ったもの。類似の理論はクランクシャフトに特殊なリンク構造を設けることで実現したアトキンソンサイクルがあったが、ミラーサイクルはバルブをコントロールすることで既存のメカニズムをそのまま活用しながら行っていたのが特徴である。

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