「騒音」「ポイ捨て」「不法侵入」 “観光公害”頻発で地元民うんざり、ライドシェアの導入は本当に効果的なのか?
タクシー会社主導の新時代

2024年4月から、ライドシェアが条件付きで解禁される。
国内でのタクシードライバーの人材不足を背景に、2023年ごろから導入の議論が急速に活発化していた。タクシードライバーはこの10年で30%以上も減少している。さらに若い人のなり手が少なく、全産業と比較しても高齢化が進展している。タクシードライバーの平均年齢は60歳を超えており、多くのドライバーがリタイア間近となっている。
ライドシェアとは第2種運転免許を持たない一般のドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶことである。そういわれて、
「今まであれほど取り締まってきた“白タク”と同じではないか」
と思った人も多かっただろう。当初は安全性を不安視する声や、タクシー会社の需要を奪うのではないか、むしろタクシーの規制緩和の方が先ではないかという声も多かった。
ライドシェアは米国や中国、インド、エストニア、スペインなど、海外ではすでに実施されている。運営会社が存在してドライバーを管理しており、フードデリバリーサービスで有名なウーバーイーツを展開する米国のウーバーテクノロジーズ、リフト、中国のディディチューシンなどが事業展開している。
ライドシェアのドライバーのなかにはリタイアした人が小遣い稼ぎにはじめたり、乗客とのコミュニケーションを楽しみにしたりする人もいるという。その一方で犯罪も含め安全性への懸念が払しょくされない部分もある。
国の方針によれば、4月からのライドシェアはタクシー事業者が運送主体となって地域の自家用車・ドライバーを活用し、アプリによる配車とタクシー運賃の収受が可能な運送サービスを提供する。
また、タクシー会社がドライバーの教育や運行管理、車両整備管理等の安全確保を行い、運送責任もタクシー会社が負うとされている。車両にタクシーと同水準の任意保険をかけることも義務付けられている。タクシー会社の管理下で実施されることにより安全性が担保され、“日本型ライドシェア”とも呼ばれている。