群馬「上信電鉄」がどう見ても「世界遺産」化にふさわしい理由
世界遺産登録の課題

ところで、「世界遺産条約」第5条(d)は「文化及び自然の遺産の認定、保護、保存、整備活用及び機能回復に必要な法的、科学的、技術的、行政的及び財政的措置をとる」ことを求める。
日本政府も、国連教育科学文化機関(ユネスコ)へ遺産を推薦する条件として、国および地方公共団体による保護措置を求めている。
しかし富岡製糸場~の構成資産として世界遺産に登録された荒船風穴と高山社発祥の地(高山社跡)では当初国の保護措置が未指定であり、田島弥平旧宅に至っては後の段階で暫定リストの記載候補に追加され(文化審議会文化財分科会世界文化遺産特別委員会第22回、2011年5月26日開催)、史跡指定も2012年9月19日であった。
田島弥平旧宅の暫定リスト登録が後になった理由として、群馬県文化振興課歴史文化遺産室は「個人宅であった面が大きい」と説明する。また、荒船風穴、高山社跡については
「世界遺産登録に向けた機運が高まるなか、地元で史跡指定を目指す動きが加速したと理解している」(同室)
とした。
世界遺産登録を目指す最終的な段階で製糸、養蚕に関する構成資産のみがユネスコへ推薦されることとなり、流通に該当する碓氷峠~と旧上野鉄道~は除外された。旧上野鉄道~については、重要文化財や史跡などの国の保護措置の指定がなかった(現在もない)。碓氷峠~は重要文化財に指定され日本政府の求める要件を満たしていたが、登録は実現しなかった。
碓氷峠~については世界遺産登録に向けて地元自治体が動き出したが、旧上野鉄道~に関する現在の取り組みはどうか。富岡市文化財保護課と下仁田町ふるさとセンターに問い合わせたところ、両市町とも
「行っていない」
とのことであった。しかし、碓氷峠~の取り組みが始まった今が、旧上野鉄道~の登録実現に向けたチャンスである。実現すれば、広範な効果が期待できる。