群馬「上信電鉄」がどう見ても「世界遺産」化にふさわしい理由
上信電鉄は、1895年12月27日、県南西部の下仁田地域で当時出荷量が増加していた生糸の輸送路近代化の要請を受け、上野鉄道として設立された。1897年9月25日、南蛇井~下仁田間が開業し、全線開業した。
群馬の鉄道遺産

2024年1月の平日、筆者(大塚良治、経営学者)は上信電鉄本社(群馬県高崎市)を訪れた。同社の宮川良伸取締役総務部長との会話のなかで、「上野鉄道(こうづけてつどう)に関連する『鬼ヶ沢橋梁』と『下仁田倉庫』は、世界遺産候補だった」(宮川氏)ことを知った。
上信電鉄は、1895(明治28)年12月27日、県南西部の下仁田地域で当時出荷量が増加していた生糸の輸送路近代化の要請を受け、上野鉄道として設立された。1897年9月25日、南蛇井~下仁田間が開業し、全線開業した(『上信電鉄百年史ーグループ企業とともにー』)。
その後、信州・長野県への延伸を計画し、1921(大正10)年9月7日に上信電気鉄道への社名(商号)変更を国に届け出た(『鉄道省鉄道統計資料 大正10年度』(『国立国会図書館デジタルコレクション』所収)。しかし、延伸は実現せず、1964(昭和39)年5月11日に現在の商号に変更された。
上信電鉄を訪れた後、筆者は報道で、群馬県安中市が北陸新幹線開業にともない廃止された旧信越本線横川~軽井沢間にある「碓氷峠鉄道施設群」を世界遺産に登録しようとする計画を2023年12月22日に発表したことを知った。
これについて、安中市みりょく創出部観光課の齊藤勝彦課長は
「『富岡製糸場と絹産業遺産群』の構成資産として登録を目指していたが、難しいことがわかったため、別の枠組みで登録を目指すことにした。最低でも10年以上かかると認識している」
と説明する。