率直に言う オスプレイの「安全神話」は米国でも日本でも既に崩壊している
NBC報道の示唆
![オスプレイ(画像:写真AC)](https://merkmal-biz.jp/wp-content/uploads/2024/02/240226_osp_01.jpg)
2023年11月29日に米空軍のCV-22オスプレイが屋久島沖で墜落し、米軍と自衛隊が装備する全てのオスプレイが飛行停止になってから、既に2か月以上が経過した。通常なら、事故状況や残骸による初期調査が行われれば、一斉点検や再教育を行って飛行が再開されることが多いので、今回の長期にわたる飛行停止は異例といっていいだろう。
オスプレイの各型は、米海兵隊を筆頭として、同空軍、海軍、そして陸上自衛隊に、合計400機以上が配備されている。その全機が飛行停止を強いられている現実は、
「技術的問題が深刻」
であることを示しており、これまでの“楽観論”を否定するものだ。
屋久島での墜落事故原因について公式の説明はまだないが、米防総省報道官は2月21に「現時点での飛行再開はない」と述べ、まだ先行きが不透明であることを示唆した。空軍特殊作戦司令部は「事故原因部品は判明しているが、その破損理由を追及する調査や分析を進めている」と述べ、一定の進捗(しんちょく)を訴えている。
一方、こうした公式発表にやや先立つ形で、米NBCニュースは
「事故原因にはプロップローター・ギヤボックスの問題が関係しているらしい」
ことを報じている。プロップローター・ギヤボックスというのは、エンジンの駆動力をプロップローター(ローターを兼ねたプロペラ)に伝える歯車変速機だ。
NBCの報道では、ギヤボックス内の歯車(ギア)が欠けた可能性を示唆し、過去に起きたオスプレイの破片(チップ)検知事例を挙げている。しかし、航空機に使われているギヤボックスでも、摩耗によって小さな破片が出ることは珍しくない。
オスプレイに限らず、そうした破片がギヤボックス内で検知されると、警告灯が点灯するようになっている。もしNBCが示唆するようにギアのチップ検知があったとすれば、屋久島の事故は、このチップ警告によって緊急着陸を試み、着陸寸前に墜落したものと思われる。