率直に言う オスプレイの「安全神話」は米国でも日本でも既に崩壊している

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400機以上配備されているオスプレイ。そのすべてが飛行停止に追い込まれているということは、技術的な問題が深刻であることを示しており、これまでの“楽観論”は否定されることになる。

防除氷システムの改善課題

米防総省の運用試験評価局のウェブサイト(画像:米防総省運用試験評価局)
米防総省の運用試験評価局のウェブサイト(画像:米防総省運用試験評価局)

 特にリポートで言及されたのは、寒冷地飛行時の着氷を防ぐ

「防除氷システム」

の問題だ。任務が不履行になった故障理由のうち、防除氷システムの問題が44%を占めたというのである。

 防除氷システムというのは、寒冷地や雲のなかを飛行した際、プロップローターや翼に氷が付着し、飛行性能が損なわれるのを防ぐ機構だ。そして、オスプレイの防除氷システムは配備直後から問題が指摘されており、改善のための試験や改修が行われてきた経緯がある。

 2020年には、北海道で行われた陸上自衛隊との共同訓練で、米海兵隊のMV-22が凍結警告灯の点灯で仙台空港に着陸した。このとき、これを突き止めた元東京新聞論説委員の半田滋氏が

「オスプレイは寒さに弱い」

とする記事を書いている。2024年のDOT&Eリポートは、半田氏が当時指摘したことが事実であり、それが現在も改善できていないことを示すものである。

 半田氏がこの問題を指摘すると、インターネット上ではたちまち

「寒さに強い」

という逆張りの意見が出てきた。しかし、その中身は十分でなく、せっかく持っている飛行マニュアルが防除氷性能の問題を示唆しているのに、それが読み取れていないものだった。

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