率直に言う オスプレイの「安全神話」は米国でも日本でも既に崩壊している
400機以上配備されているオスプレイ。そのすべてが飛行停止に追い込まれているということは、技術的な問題が深刻であることを示しており、これまでの“楽観論”は否定されることになる。
ギヤボックスの影

米軍関係者向けの『星条旗新聞』(スターズ・アンド・ストライプス)によれば、オスプレイのギヤボックスに関しては過去にも問題が指摘されており、2023年1月には国防総省から設計改善予算1270万ドルが拠出されたという。
オスプレイにとってギヤボックスの信頼性は極めて重要だ。既存の双発飛行機なら、たとえ片方のギヤボックスが壊れても飛行は継続できるが、オスプレイは飛行不可能になってしまうからだ。
しかし、ギヤボックスそのものが壊れてしまうことは非常にまれで、通常は致命的な事態に至ることはない。屋久島の事故でも、単純にチップの発生が直接墜落を招いたわけではないだろう。また、ギヤボックスのトラブルといっても、NBCが推測するようなチップ検知ではなく、潤滑油の漏えいなど他の不具合である可能性もある。
オスプレイの開発時には、試作機がプロップローター・ギヤボックスのオイル漏れによって墜落し、乗員7人が死亡する事故が起きている。漏れたオイルが、ヘリコプター・モードに遷移した際、エンジンの高温部に触れて火災を起こしたのだ。もしこの不具合が再発していたとすれば、当時実施された対策は十分な効果がなかったことになる。
これだけでもオスプレイの抱える問題は深刻だが、これに追い打ちをかける報道も出てきている。米防総省の運用試験評価局 (DOT&E) が発表する年次報告のなかで、オスプレイは多くのサブシステム故障のため
「運用に適していない」
と評価したのだ。