イスラエル抗議デモで一躍有名に? 伊藤忠商事の子会社「伊藤忠アビエーション」とはどのような会社なのか

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伊藤忠商事は、子会社の伊藤忠アビエーションを通じて、エルビット・システムズとの協力覚書を2月中をめどに解消すると発表した。伊藤忠アビエーションはどんな会社なのか。

航空産業で長年の実績

エルビット・システムズのウェブサイト(画像:エルビット・システムズ)
エルビット・システムズのウェブサイト(画像:エルビット・システムズ)

 伊藤忠アビエーションは、1972(昭和47)年に設立された伊藤忠商事の非上場子会社である。帝国データバンクのデータによれば、業種は「輸送用機械器具卸」で、主な取引先は

・防衛省
・三菱重工業
・川崎重工業
・日本電気
・三菱電機

である。

 伊藤忠商事の子会社だけあって、同社が扱う商品は多岐にわたる。例えば、同社は日本のベンチャー企業と共同で、水上離着水型ドローンの開発に取り組んでいる。これは飛行艇型で、通常のドローンとは異なり海水面に離着陸できる。『日本経済新聞』2022年8月19日付電子版の記事によると、同社は神奈川県と共同で、このドローンを使って漁業の効率化に取り組んでいる。記事によると、ドローンの具体的な使い方は次のとおりだ。

「相模湾の海上に漁船から飛行艇型ドローンを飛ばし、空から魚群を探索する実証実験をした。同県横須賀市を拠点とするキハダマグロ漁で魚群探索を効率化し、漁船の燃料費を減らすのが狙いだ。映像と位置情報をリアルタイムで把握し、「鳥山」と呼ばれる魚群の上に集まる海鳥の群れを追った。実験当日は「鳥山の発見には至らなかった」(県担当者)が、ドローンを活用した先進的な漁業の可能性を感じさせる取り組みだ」

 同社がこうした先端分野に参入するのは、航空産業関連の商材で長年の実績があるからだ。例えば、読売新聞社は1988(昭和63)年にメッサーシュミット・ベルコウ・ブロームのヘリコプターを同社を通じて購入し、報道を充実させた。

 2010(平成22)年に羽田空港と新潟県の佐渡空港を結ぶ路線が検討された際には、同社が販売するフランス製のATR42-500型機の購入を前提とした計画だった。また、同社が扱う商材は、防衛用途から民生用の計測器や研究施設の建設まで、非常に幅広い。そうしたなかで、防衛関連部門は同社の事業の柱となっている。

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