戦車・戦艦好きでも反戦派? ネットにはびこる「ミリオタ = 右翼」説を一蹴する

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マニアックな軍事情報をSNSで解説している「ミリオタ」。そんな彼らは一般的に「右翼的」と認識されているが、それは本当だろうか。

高まる軍事・安全保障への関心

チェコのプラスラヴィツェにて、チェコ軍への戦車の象徴的な鍵の引き渡し式で、レオパルト2A4戦車を運転するチェコ軍兵士たち。2022年12月21日撮影(画像:EPA=時事)
チェコのプラスラヴィツェにて、チェコ軍への戦車の象徴的な鍵の引き渡し式で、レオパルト2A4戦車を運転するチェコ軍兵士たち。2022年12月21日撮影(画像:EPA=時事)

 開戦から1年を迎えたウクライナ戦争。世界の経済や物流にも影響を及ぼしている同戦争を通して現在、軍事や安全保障への関心が高まっている。

 開戦当初から関心が高まっているのが戦争当事国の関連本だ。

 特に2021年5月発売の、東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠氏がロシアの軍事思想を読み解いた『現代ロシアの軍事戦略』(ちくま新書)は開戦後から売れ行きを伸ばし、2022年3月中旬までに6万部が増刷された。戦争が長引くなかで、その他の関連書籍も読者を増やしている。

 このような世間の関心の高まりのなかで、戦争の背景である歴史そのものにも注目が集まっている。

多様化した戦争情報の発信手段

『現代ロシアの軍事戦略』(画像:筑摩書房)
『現代ロシアの軍事戦略』(画像:筑摩書房)

 さて、いまだに終わる気配のないウクライナ戦争だが、これまでと大きく異なるのは、戦況や兵器の情報を入手する

「手段」

である。かつての手段は

・当事国が発表するもの
・現地にとどまる報道陣が伝えるもの

にくらいだった。

 湾岸戦争(1990年8月~1991年2月)では、各国の大手メディアがテレビを通して現地から戦争を生中継して衝撃を与えた。ところが現在では、SNSを通して当事者である市民や兵士がリアルタイムで情報を発信している。外部の人間にとっては、ある意味で気軽に

「戦争見物」

ができる状況が生まれているのだ。

 しかしSNSで流れる情報は膨大であり、さらに言語が異なれば理解しにくい。そもそも、使われている兵器がどのようなものか、大抵の人は知識すら持っていない。

 ただ、日本語だけに限っても、さまざまな情報ソースを引用してそれらを詳細に解説している人はSNS上に多数存在する。

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