「バス = 不便」は日本だけ? 世界ではバス専用レーン増加中、日本だけ逆行──公共交通の異常問題とは【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(30)
「クルマは便利、バスは不便」という思い込みが日本の都市政策を歪めている。1時間あたりの輸送効率はバス専用レーンで最大1.7万人。世界が再評価するバスの価値を、日本はなぜ見過ごすのか――。
公共交通に潜む認知の歪み

先進国では「クルマは便利、バスも便利」が当たり前の感覚だ。ところが日本では、「クルマは便利、バスは不便」という無意識の思い込み、いわゆるアンコンシャス・バイアスの沼に陥っている。
アンコンシャス・バイアスとは、
・無意識の偏見
・無意識の思い込み
のことだ。我々は気づかぬうちに、公共交通は不便で仕方がないものと受け止めてしまっている。そしてそれが当然のこととして広く共有されている。
一方で、世界の多くの国では違う。地方創生のカギとして路線バスの改革が国策レベルで進められており、大都市だけでなく地方都市でも「バスは便利」が常識になっている。
なぜか。先進国ではマイカーがドア・トゥ・ドアの移動手段として非常に便利であることを前提にしている。そのうえで、クルマと公共交通の間に生じる移動時間やコストの格差、いわゆる「移動の不平等」を埋めることが、公共政策の重要課題として位置づけられてきた。
公平性を保つために、各地域に合った多様な取り組みが重ねられてきた。そして近年、その手法はさらに進化している。
いまだに昭和の風景のような交通環境が残っているのは、日本くらいだ。これは先進国のなかでは、極めて異質な状況である。