羽田は国内線、成田は国際線 「内際分離」に横たわる光と影、そのベストな使い分けとは?
「内際分離」という航空用語をご存じだろうか。内際の内は「国内線」を、際は「国際線」を意味する。つまり、民間航空事業において、国内線と国際線の空港を分ける措置のことを指す。
「内際分離」とは何か

「内際分離」という航空用語をご存じだろうか。内際の内は「国内線」を、際は「国際線」を意味する。つまり、民間航空事業において、国内線と国際線の空港を分ける措置を指す。
具体的には、成田国際空港(成田空港)と東京国際空港(羽田空港)の運営において、国際線は前者、国内線は後者を基幹空港とすることが航空行政の基本原則であり、1978(昭和53)年の新東京国際空港(成田空港)開港時に確立された。
内際分離が策定された背景には、成田空港開港時に完全に飽和状態にあった羽田空港のキャパシティーを補完し、より効率的な運用を実現することがあった。国際空港と国内空港では、発着する航空機の規模も、運用に必要な施設も異なる。それらの分離は、空港事業にとって有利であるとの判断から導入された。
内際分離は当初は順調に運用された。しかし、利用者数の増加にともない、成田空港の都内へのアクセスの悪さが次第に問題になった。これは、成田空港計画当時に同時進行していた成田新幹線計画が、沿線自治体の活動や成田空港建設反対運動によって白紙に戻さざるを得なくなったことと無関係ではない。
ちなみに成田空港建設計画当時、新幹線は成田空港と東京を30分で結ぶ予定だった。しかし、それは不可能となり、在来線か高速バスに頼らざるを得なくなった。所要時間は両路線とも1時間以上、時間帯によっては1時間半から2時間近くかかるのが一般的で、利用者にはアクセスの悪さのみが印象づけられる結果となった。
世界の大都市圏にある国際空港では、空港から首都へのアクセス時間は約30分が標準である。このことから、成田空港はアクセスが悪い空港と評価せざるを得ない。