京葉線「ダイヤ改悪」はなぜ防げなかったのか? JR・行政の間に横たわる“構造的問題”を考える

キーワード :
, ,
JRの首都圏区間のダイヤは、私鉄に比べてわかりにくく、サービスレベルも劣る。沿線自治体もそれを感じて改善要望を出しているが、抜本的な改善には至っていないケースが多い。

競争が働かない京葉線

 京葉線は競争原理が働きにくい立地条件にある。並行する総武線も自社線、京成は競争力として論外であり、この状況にあぐらをかいているのではないか。

 それでも黒字路線だからJRが京葉線を手放すこともない。こうなるとサービスレベルの低い運行を続けられる沿線住民は不幸だが、日本にはサービス向上に意欲がない鉄道事業者を市場から退場させ、

「意欲のある事業者に公共の線路を明け渡す仕組みがない」

ことが問題だ。

 一方で海外には優良な事業者に運行事業の権限を与え、サービス向上に意欲がない運行事業者を市場から排除する仕組みがある。韓国高速鉄道や欧州のオープンアクセスなどがある。ただし海外の事例ではひとつの路線にかなりの数の事業者が列車単位で参入し、一般的な通勤電車でまねしようとすると運賃支払い上の利便性の低下や混乱を招く。

 日本の都市鉄道でやるとしたら、入札で路線ごと、あるいは路線群単位(京葉線の場合なら内房線や外房線とセットにするなど)で運行事業者を決め、落札できた事業者に、例えば5年ごとの有期更新で第2種鉄道事業免許(線路を借りて運行)を与え、JRが落札できなかった場合は第3種鉄道事業(線路を保守して貸す)に徹する仕組みなら現実的ではないか。

 こうすればJRはメンテナンス費用に一定の利潤を加えた分以上の収益しかJRは手にできず、運行事業者はその努力によってJR時代よりも大幅に利益を上げたとしてもJRはそれを手にできない。となれば、JRも危機感を持つのではないか。

全てのコメントを見る