京葉線「ダイヤ改悪」はなぜ防げなかったのか? JR・行政の間に横たわる“構造的問題”を考える
現行ダイヤの問題点
千葉支社の説明にはいくつかおかしな点があるが、そのなかでも特筆すべきは、混雑の偏重をなくすために快速は各駅に停車する必要があるとしている点だ。
まずは18時台10本の設定がある各駅停車から見てみると、京葉線・武蔵野線併せた各駅停車の間隔は3~13分とかなりいびつだ。また、行き先別の間隔もバラバラだ。蘇我行きだけで見ると7~19分間隔、西船橋方面行きだけで見ると7~18分間隔だ。これは間に特急や快速、通勤快速が入っているからだとしているが、これは各駅停車の設定の仕方が明らかに悪いのを快速のせいにしているようにしか見えない状況だ。
例えば、東京駅18時発の特急の前に出している各駅停車は、特急の9分も前の17時51分に出していて、結果18時4分発の各駅停車まで13分も開く。しかも17時51分の各駅停車は葛西臨海公園で特急の通過待ちで5分も止まり、その後新浦安でも快速の待ち合わせをしている。これは特急と快速を連続で出しているのが間隔を広くした要因のひとつだ。
だが、葛西臨海公園での通過待ちなら特急の6分前の出発で十分であるし、特急発車後すぐに次の各駅停車を出す形にしていれば、各駅停車の間隔は開いても8分で済むはずだ。一方で18時11分発の各駅停車は、18時14分発の通勤快速の3分前に出しており、さらに通勤快速の後の各駅停車の発車は8分も後で、こちらも先行の各駅停車と11分も間隔を開けている。
千葉支社は通勤快速の利用が少ない一方で、快速や各駅停車に混雑が偏るとしているが、それもそのはず。東京発18時台で見ると18時2分に快速を出した後、南船橋や海浜幕張に止まらない通勤快速が18時14分に入り、その後の快速は18時38分まで36分も開く。
その次は13分後の18時51分発快速だ。南船橋に帰る人の視点で見ても、東京18時2発快速の後は、18時8発各駅停車、18時22分発各駅停車、18時38分発快速、18時41分発各駅停車と3~16分といびつだ。これは蘇我方面の各駅停車と快速または通勤快速の本数が1時1になるような運行にしていないのが悪いのであって、決して快速の存在のせいではない。
私鉄各線でこんなダイヤを組んでいる路線はどこにもない。このような一定のリズムで来ない
「不整脈ダイヤ」
というべき状況が混雑偏重の原因であって、各駅停車と快速系の両立を図る調整力不足を、顧客に不便を強いて埋め合わせようとしているのだ。
だいたい快速の混雑が激しければ快速を増やすのがスジだし、通勤快速の利用が少ないのは停車駅が少なすぎるからであり、千葉市長は蘇我より先の利用者だけでは通勤快速を維持するのに不十分ということであれば、美浜区民も乗せればいいということを念頭に、海浜幕張に追加停車することを提案している。そうすれば東京~海浜幕張間の各駅停車の混雑緩和にもなるだろう。
また、混雑平準化のためなら平日の朝夕だけ快速廃止ならまだわかるが、通勤需要の少ない土休日の朝夕も廃止とは論理が破綻しているのではないか。