JR東のSuicaデータ「販売検討」に不安の声も 利用者が知っておくべき「功罪」両面とは

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8000万枚超の発行数を誇るJR東日本のICカード乗車券「Suica(スイカ)」。同社は2022年1月、このSuicaの利用データの販売を検討すると発表した。同社は2013年、利用者の情報を他社に提供したことで批判を受け、中止に至った経緯がある。今回の発表にも、インターネット上では個人情報流出などを懸念する書き込みが散見された。Suicaデータ利活用の是非をあらためて考える。

利用者側に求められていることとは

 先のような報道は、新しい挑戦をする鉄道会社を萎縮させる恐れもある。現在日本は、残念ながらITやAI、そしてビッグデータの活用において多くの国々の後塵(こうじん)を拝しており、国内の貴重な情報を、GAFAをはじめとする他国のプラットフォームに握られている。

 こうした現状を鑑みれば、JR東日本が国内での批判を避けるために外部に提供する情報を意図的に劣化させるのは、マクロの視点で見ればマイナスだ。

 この状況を打開するには、JR東日本の努力だけでなく、われわれ利用者の理解も必要だ。

 JR東日本は、Suicaデータの活用についてウェブサイトのプレスリリースで報じるだけでなく、駅に告知ポスターを掲示するなどして必要性を説き、周知徹底を図る。利用者は、それを見て必要性を理解し、社会情勢やリスクを踏まえて判断する――。そうした双方の意思疎通がいま求められているのではないだろうか。

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