寝台列車の魅力とは何か? 欧州では“環境配慮”で存在感復活、日本では今後どうなる

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年末年始も臨時で4本追加される日本の寝台列車。その未来はあるのか。実は欧州では復活の動きがあるのだ。

日本の寝台列車

サンライズ瀬戸(画像:写真AC)
サンライズ瀬戸(画像:写真AC)

 北陸新幹線の金沢~敦賀駅間が2024年3月に開業する。新幹線がカバーする地域は広がり、移動時間はさらに短縮される。

 かつては長距離移動といえば寝台列車が隆盛だったが、格安航空券や夜行バスの存在により、現在定期運行されている寝台列車はふたつのみ。東京と出雲を結ぶ「サンライズ出雲」と、東京と高松を結ぶ「サンライズ瀬戸」である。

 さて、寝台列車の魅力はなにか。

・夜の間に寝ながら移動して時間を有効利用できるといった「利便性」
・電車内なのに個室があったりベッドが出現したりする「特別感」
・電車の振動を感じながら水平の状態で眠りにつく「非日常性」
・昔ながらの旅スタイルへの「ノスタルジー」

がまず挙げられる。飛行機で空を飛ぶことへの恐怖や空港での煩雑で厳格な手続きが苦手な人の需要もある。空港は郊外にあって、早めに到着していなければいけないことも緊張感を生む。

 飛行機や新幹線ほどスピードが速くないので、移動距離を体感として把握しやすい点も魅力だ。同じようなスピードの車ほど乗り物酔いを誘発しないので、本を読んだり、スマートフォンでゲームをしたり、パソコンで仕事したりといった活動もしやすい。さらにはトイレのみならず、シャワーが使えるのは飛行機にもない機能である。

 そんな理由もあってか、サンライズ瀬戸・出雲の繁忙期の利用が増えている。2023年10月20日付けの『マイナビニュース』によると、2022年度の年末年始期間(2022年12月28日から2023年1月5日まで)は約6000人の利用で、これは前年比126%、コロナ禍前である2018年比でも102%(JR東海発表)だった。

 この年末年始も臨時で4本追加されるが、通常は1日1往復である。日本の寝台列車に未来はあるのか。実は欧州では、リバイバルの動きが出てきている。

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