駅弁パワーは復活できるか? 時刻表をタイムスリップして考える 東日本編【短期連載】令和駅弁ビジネス考(2)

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長年乗客を魅了してきた駅弁。その未来は明るいのか。鉄道と駅弁ビジネスの“交差点”を探り、その可能性に迫る。

北海道エリアの駅弁を旅する

電車の車内で食べる駅弁イメージ(画像:写真AC)
電車の車内で食べる駅弁イメージ(画像:写真AC)

 時刻表の欄外にある「駅弁の案内」を見て妄想するという駅弁の楽しみ方がある。今でこそインターネットで簡単に検索できるが、その昔は情報を入手する方法が限られていたため、旅をしたくなる一要素だったのではないだろうか。

 そこで、手元にある1985(昭和60)年1月の時刻表(日本交通公社)の欄外を参考に、今昔を比較しながら駅弁の可能性を探ってみよう。

●日高本線 様似駅「つぶ貝弁当」
 日高本線の鵡川(むかわ)以東は2021年4月に廃線となったため、終点だった様似(さまに)駅はもうない。廃線とともに駅そのものもなくなった駅弁の例である。1985年当時は、様似駅で4~10月のみ鮭弁当(500円)、つぶ貝弁当(500円)が販売されていたようである。

 現在は、かつて様似駅で販売されていたつぶ貝弁当が冷食となって復活して、旧様似駅構内の観光案内所やオンラインショップで販売されている。鉄道がなくなっても、駅弁が地域の食文化の片りんとして後世に残っている例といえよう。

●函館本線 函館駅「鰊(にしん)みがき弁当」
 1936年創業の「駅弁の函館みかど」により、1966年に発売されて以降、変わらぬ製法で作られている北海道の人気弁当だ。鰊甘露煮、味付け数の子、茎わかめしょうゆ煮と、北海道の味覚がつまっている。

 なお「駅弁の函館みかど」は、駅構内で食堂を営んでいたみかど株式会社の函館駅駅弁販売店をルーツとしている。ジェイ・アールはこだて開発(現在のJR北海道フレッシュキヨスク)が、函館駅駅弁販売店の営業権の譲渡を受けて現在にいたる。発売開始時の事業者が消滅しても、ブランド駅弁が受け継がれている一例である。

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