異彩のフラッグシップ! 日産「インフィニティQ45」のグリルレスはむしろ偉大なる個性だった【連載】90’s ノスタルジア・オン・ホイールズ(7)
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1990年代は、バブル崩壊後も未来への夢と希望に満ち、国内の自動車産業も活況を呈していた。本連載では、当時のクルマ文化を探るとともに、興奮を読者に甦らせる。
バブル期の粋な内装と本質的な上質さ

筆者(矢吹明紀、フリーランスモータージャーナリスト)はQ45が発売された際、幾度となくステアリングを握る機会があった。そこで抱いた印象は、
「運転すること自体が楽しいクルマ」
というものだった。
大柄なボディではあるものの前後のラインが適度に絞られていたこともあって、運転はしやすかった。もちろん4.5リッターのV型8気筒エンジンが生み出す自然吸気での280hpの最高出力は圧倒的であり、それこそ低速から高速までよどみなくクルマを走らせることができた。サスペンションは前後ともに凝ったデザインのマルチリンクであり、油圧アクティブサスペンションと相まってそのフィールはスポーツカーのそれを思わせるものだった。
また、インテリアのしつらえも見せかけだけの豪華さではなく、バブル期の高級車らしい本質的な上質さを備えていた。特にダッシュボード周りの化粧板には漆塗りの蒔絵(まきえ)を採用していたのは特筆すべきことだったといってよいだろう。
インフィニティQ45は、日本の高級車として技術的にもデザイン的にも全く新しい路線をプレゼンテーションしたものだった。こうしたある種の“自信”もまたバブル期に登場した商品に共通だったことである。
しかし日産のこうした新たな挑戦は市場で理解されなかった。特にグリルレスのフロントマスクのデザインは「物足りない」というユーザー候補者からの意見が大半を占めた。その結果、1993(平成5)年6月のマイナーチェンジでフロントグリルが付け加えられることとなる。