生鮮食品を“最速29分”でお届け 中国EC「ディンドンマイツァイ」、利益確保の舞台裏とは?【連載】方法としてのアジアンモビリティ(11)
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- 物流, EC, 方法としてのアジアンモビリティ
急速に変化・成長する経済圏として、世界的に注目されているアジア。この地域発のモビリティ・アプローチが、今後の経済において重要な役割を果たすことはいうまでもない。本連載では、アジアにおけるモビリティに焦点を当て、その隆盛に迫る。
PB戦略で利益率向上

前置型倉庫は立地条件を選ばないため、賃料を低く抑えられる。ただ、生鮮分野のビジネスの利益率は非常に低い。受注から配送までの業務に係る「フルフィルメントコスト」を徹底して低減しなければ、利益は確保できない。ディンドンのライバルであった「毎日優鮮(MissFresh)」が行き詰まったのも、コストを抑えることができなかったからだと指摘されている。
そこでディンドンは、最先端のビックデータと人工知能(AI)の活用によって、さまざまな問題を解決してきた。まず、精度の高い需要予測により、売れ残りによる損失率を極限まで低下させた。また、消費者の購買傾向を分析することによって、前置型倉庫へ納品する商品選別を最適化している。
ディンドンはまた、生鮮食品以外にもカテゴリーを拡大することで、利益率を上げてきた。
さらに、同社がプライベートブランド商品の開発を推進してきたことも勝因のひとつだ。2020年には食品の商品開発と自社加工を手がける「叮○(=口へんに冬)谷雨(ディンドングーユィ)」を設立。すでに、
・米穀加工工場
・豚肉加工工場
・即席食品加工工場
などの自社工場を10か所所有しており、売り上げ全体に占めるプライベートブランドの比率は
「10%以上」
に拡大している。同社は、この比率を30%に拡大するという目標を掲げている。