海外の「トレカコレクター」がわざわざ日本にやって来るワケ 越境ECとインバウンド増加の関係を考える

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本稿では、ネット上の施策である越境ECと、現実世界における人の移動との関係について考えてみたい。

1000万人を超えたインバウンド

トレーディングカードのイメージ(画像:写真AC)
トレーディングカードのイメージ(画像:写真AC)

 上半期の訪日外国人(インバウンド)数が1000万人を超えた。新型コロナ感染拡大前の2019年以来、4年ぶりのことだ。

 増加の背景には、まず渡航制限の撤廃がある。大型連休を前に、政府は新型コロナ感染を理由に入国制限などの水際対策を打ち切った。

 要因はほかにもある。越境ECである。本稿では、ネット上の施策である越境ECと、現実世界における人の移動との関係について考えてみたい。

海外消費者の使い勝手を重視する越境EC

越境ECのイメージ(画像:canva)
越境ECのイメージ(画像:canva)

 越境ECとは、海外の消費者をターゲットとしたECサイトの運営である。インターネットには地理的な制約がないため、基本的に国内市場と海外市場を区別する必要はない。

 しかし、言語や通貨、配送に対応していない場合、実質的なハードルとなる。そこで、海外消費者のハードルを取り除く越境ECが注目されている。

 世界の越境EC市場規模は成長を続けており、2019年の7800億米ドルから、2026年には4兆8200億米ドルになると推計されている。

 日本のEC市場もコロナ禍の影響で急成長している。しかし、2022年以降は成長が鈍化している。国内ECにおけるコロナ特需が一段落したと見るのが妥当だろう。

 一方、越境ECは成長を続けている。さらに、越境ECと実店舗の両方を運営する事業者の間では、越境ECとインバウンドの相関関係が見られるようになった。

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