生鮮食品を“最速29分”でお届け 中国EC「ディンドンマイツァイ」、利益確保の舞台裏とは?【連載】方法としてのアジアンモビリティ(11)

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急速に変化・成長する経済圏として、世界的に注目されているアジア。この地域発のモビリティ・アプローチが、今後の経済において重要な役割を果たすことはいうまでもない。本連載では、アジアにおけるモビリティに焦点を当て、その隆盛に迫る。

29分の鮮度戦略

ディンドンマイツァイのサービス(画像:ディンドンマイツァイ)
ディンドンマイツァイのサービス(画像:ディンドンマイツァイ)

 中国の生鮮食品EC(電子商取引)大手の叮○(=口へんに冬)買菜(ディンドンマイツァイ)が、厳しい競争に耐えて生き残りを果たしつつある。

 2023年第3四半期の流通取引総額は第2四半期から6.4%増の56億7000万人民元、純利益は1550万人民元(非米国会計基準)となり、4四半期連続で黒字を達成した。

 ディンドンは、スマートフォンのアプリ経由で受注し、生鮮食品などを直接家庭に配送している。生鮮食品のほか、肉、魚介類、日用品などを扱っている。上海、北京、深センなどを中心に展開しており、1日当たりの配送件数は

「約100万件」

に達している。

 ディンドンの強みは、

「最短29分で顧客に届ける」

という驚きの配送スピードだ。これを可能にしているのが、顧客の近くに設けられた「前置型倉庫」と呼ばれる小規模な倉庫兼配送センターだ。倉庫入り口の前には、企業カラーのグリーンで統一されたバイクと配達員が待機し、スピーディーは配達に備えている。

 前置型倉庫の広さは平均約300平方メートルで、1000か所以上に設置されている。倉庫は居住エリア1km内をカバーしており、1日の受注件数が1500件を超えると、新たな倉庫を設けるという仕組みだ。

 倉庫には、生鮮食品の品質を管理するコールドチェーンシステムが装備されている。また、ディンドンは徹底した鮮度管理を行っており、専用の酸素供給装置を備えた水産物配送ボックスを導入して、生きた魚やエビの配達にも対応している。

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