JAL「水素航空機」開発 海外3社と提携も、インフラ&コストにただよう“一抹の不安”

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JALは11月16日、将来の航空機運航に向けた脱炭素化計画の一環として、水素燃料電池航空機の実用化に向けた新たな国際共同事業に着手すると発表した。

水素供給の不確実性

水素ステーション(画像:写真AC)
水素ステーション(画像:写真AC)

 水素の供給インフラに関しては、燃料電池車用でもまったく足りていないのが現状だ。コスト回収がほとんど不可能なのが現状だからだ。設置コストや運用コストに不安がないとはいえない水素供給インフラを、例えば便数や運用予算が限られている地方空港や離島空港に本当に設置できるのだろうか。 これらについてはまだ発表されていない。

 ただ、この協業先のうち、ユニバーサルハイドロジェンは、機体側の機器に加えて、水素ステーションの運用のためのシステム開発にも注力すると発表している。これはまさに期待できることだ。

 JALは2050年までに全社でカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げている。しかし、これは厳しいだろう。特に長距離路線を飛ぶ大型ターボファン機の電動化でカーボンニュートラルを実現するのは難しく、仮に可能だとしても、最近いくつかの航空会社がテストに成功しているSAF(CO2由来の合成航空燃料)でなければならない。

 しかし、水しか排出しない燃料電池航空機とは異なり、カーボンフリー由来の燃料でありながら飛行中に排ガスを排出することは、一般の人々には理解されにくい。

 その意味で、将来のカーボンフリーへの第1歩として、燃料電池航空機のキャンペーンと、それにともなう業界のイメージアップとビジネス面での活性化には意味がある。

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