スズキのEV戦略 カギを握るインド生産「SUV」「軽EV」、国内は後発も低価格帯投入の可能性あるのか
ジャパンモビリティショーで出品されたコンセプトモデルからスズキのEV戦略を浮き彫りにし、決算発表内容から今後のEV戦略を読み解く。
スズキのEVデビュー
4年ぶりに開催された2023年の「ジャパンモビリティショー」は、これまでのモーターショーとは大きく様変わりしたが、目標の来場者数百万人を達成した。
そんななか、スズキは電気自動車(EV)第1弾「eVX」や軽EVコンセプト「eWX」などの参考出品車を含む7車種を出展した。
本稿では、出品されたコンセプトモデルからスズキのEV戦略を浮き彫りにするとともに、直近の決算発表内容から今後のEV戦略を読み解く。
EV生産の輸出拠点はインド
EVコンセプトSUV「eVX」は、2023年1月にインドで開催されたオートエキスポでワールドプレミアされた世界戦略車だ。
モビリティショーのタイミングで日本での販売が発表された。eVXはスズキがグローバルに販売する初の乗用車EVで、2024年10月頃にインド、日本、欧州での同時発売を目指している。インドをEVの輸出拠点と位置づけ、2025年に日本に輸出し、欧州ではトヨタにOEM供給することを検討している。
スズキ初のEV生産をインドから開始するという策は大胆だ。同社のインド事業については
・インド子会社のマルチスズキへの出資比率を58.2%に引き上げ
・スズキモーターグジャラートのマルチスズキの子会社化
など、事業の効率化を図るため、マルチスズキへの統合を加速する。
スズキのインド市場でのシェアは40%を超え、グローバル販売の過半数を占める最重要地域となっている。セグメント別では、軽・コンパクトクラスが販売台数の大半を占めるが、近年はSUVのシェアが急拡大しており、2023年上半期のシェアは
「21.7%」
と、前年比で10ポイント近く上昇している。このことからも、eVXがSUVセグメントにおける売れ筋モデルとして期待されているのは明らかだ。