「ハイブリッド車」に依存する日本車メーカー! そこからの引き際が“EV戦略”の岐路となる
HVの需要回復

最近、電気自動車(EV)の世界的な販売不振が伝えられているなか、ハイブリッド車(HV)への需要が戻ってきているとの報告も増えている。
EVのいまだに高い価格と、一向に普及しない充電網に嫌気が差した新車購入者が、HVの購入に動いているようだ。
HVを得意とする日本の自動車メーカーにとっては追い風だが、
「一過性」
とも思えるHVブームの恩恵を日本の自動車メーカーはいつまで享受できるのだろうか。最新動向から探ってみよう。
直近のHV販売動向

まず、世界の乗用車市場の8割を占める主要11か国と北欧3か国の2023年9月新車販売統計から、直近のHV販売動向を検証してみる。
HVの販売比率は全体の約7%で、前年同期比約1%増と、同時期のEV販売比率の伸びとほぼ同じである。台数ベースでは、HVの月間販売台数は2022年の30万台から40万台に近づいており、好調に推移しているといえる。
次に長期的な販売予測だが、富士経済が2023年7月に発表した調査結果によると、HVとプラグインハイブリッド車(PHV)を合わせた販売台数は
・2022年:697万台
・2035年:1826万台
と、約2.6倍になるとされている。これは「HV市場は拡大傾向にあり、日本市場は安泰」という楽観的な見方もできる。
しかし、同調査では2022年のEVが705万台とHVとほぼ同じなのに対して、2035年には約8.2倍の5774万台まで成長するとしている。EVへのシフトは依然として主戦場であり、EVシフトに乗り遅れることによる機会損失は、この数字からも明らかである。
前述の2023年9月の新車販売台数統計をもとに、各自動車メーカーのHV販売比率を調べた。トヨタが突出して30%を超えているのに対し、日産とホンダは20%弱、ゼネラルモーターズ(GM)とフォードは5%未満と、日本企業の
「HV依存度」
は依然として高い。
では、日本の自動車メーカーが依存しているHVが、今後どのような位置づけになるのかを検証する。