トラック業界だけじゃない! 「海運業界」も深刻な人員不足、内航船員30年で“7割減” だが月収は「平均52万円」だ

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モーダルシフトの推進にともない、トラックに代わる輸送手段として注目されているのが海運である。しかし、海運業界も人手不足に直面していることは、意外に知られていない。

問題の認知度不足

外国人船員のイメージ(画像:写真AC)
外国人船員のイメージ(画像:写真AC)

 2000年代に入ると、団塊世代の退職にともない、この問題は深刻化した。この状況に対処する有効な手段のひとつとして、外国人船員の導入が検討された。

 2005(平成17)年には関西経済連合会が政府に対し、この方針を支持する要請を行った。しかし、多くの業界で外国人労働者を導入して労働者を確保する動きがあるのに対して、内航船だけは状況が異なる。国交省も業界も共通して外国人船員導入を求める動きはほとんどみられない。

・外航船と違い日本に住むためコストは安くならない
・英語でコミュニケーションをする必要があり意思疎通が困難になる
・瀬戸内海など複雑な海域が多く、外国人には難しくて任せられない

などさまざまだ。

 では、女性船員の採用拡大はどうだろうか。2017年の国土交通省の資料によると、過去5年間で船員教育機関を卒業した女性は193人であり、そのうち69%が船員として就職した。一方、男性卒業生は2645人で、91%が船員として就職している。

 そもそも、志望者は少なく、かつ資格を得ても船上の生活を選ぶ人が少ないのが現状だ。内航船の人手不足を報じた専門誌『内航海運』2019年10月号には、こんな一文がある。

「女性船員の導入も多くは望めない。女性船員の採用例は25年ほど前からある。しかし、定着して内航船員を一生の仕事とした女性は、ごくわずかである」

男性でも転職者が多い業種ゆえに、女性を呼び込むことでの人手確保は困難だろう。

 このような内航船員の人手不足だが、最大の問題は、

「一般に知られていない」

ことだ。2024年問題に絡み話題になることが多いトラックドライバーに比べると、事情を知る人ははるかに少ない。しかし、モーダルシフトが進行するなかで、船員の不足は物流維持のためにも早急に解決すべき問題である。

 まずは、ひとつの業界にとどまらず、日本の物流システム全体に影響を及ぼす問題であることを広く知らしめることが必要だろう。

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