トラック業界だけじゃない! 「海運業界」も深刻な人員不足、内航船員30年で“7割減” だが月収は「平均52万円」だ
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モーダルシフトの推進にともない、トラックに代わる輸送手段として注目されているのが海運である。しかし、海運業界も人手不足に直面していることは、意外に知られていない。
勤務形態と労働環境に課題

もうひとつの原因は、「特殊な勤務形態と労働環境」にある。内航船では一般的に、
「3か月連続勤務後に1か月の休暇」
を取るパターンが採用されている。勤務期間中は、4時間の労働と8時間の休憩を交互に繰り返す。このような勤務形態と、長期間にわたって狭い船内で限られた仲間と過ごす環境は、多くの船員にストレスを与えている。
国土交通省が2016年に実施したアンケート調査(回答者96人)によると、船員が転職を考える最も多い理由は
「人間関係がうまくいかなかった」
だった。次いで多い理由は
「休暇が十分に取れず、毎回長期間の乗船が必要だった」
である。一方、トラックドライバーのように長時間労働と低賃金が問題視される職種と比較すると、内航船員の賃金は決して低くない。2021年の船員労働統計によれば、内航船員の月収は
「平均52万円」
で、一般労働者の平均月収30万7400円を上回っている(1.7倍)。それにもかかわらず、転職を決意する船員が少なくないのだ。
内航船員の不足問題は、トラックドライバーほど注目されていないが、1980年代のバブル期から続く長期的な問題である。特に高齢化が進んでおり、45歳未満の船員は全体の半数以下にとどまっている。
バブル期に船員不足が顕著になったのは、景気上昇にともなう輸送量の増加によるものだった。この問題に対応するため、業界では、早期からさまざまな改善策を実施してきた。
1992(平成4)年、運輸省は日本内航海運組合総連合会(内航総連合)の要請を受け、海員学校7校の教育を外航船員養成から内航船員養成へと転換した。これにより、内航船業界に新たな人材の流入が期待された。同年には、女性船員の採用が本格化するなど、改革は急ピッチで進んでいる。