宇都宮LRTの反対派代表、西側延伸認可で「行政訴訟を検討」と発言! 開業2か月も依然立ちはだかる“3つの課題”を考える

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宇都宮LRTは、2023年8月26日開業から2か月を迎えた。しかし現在、三つの課題が立ちふさがっている。

対話と共感の重要性

ハンターライン鉄道代替バス。2016年8月17日撮影(画像:大塚良治)
ハンターライン鉄道代替バス。2016年8月17日撮影(画像:大塚良治)

 ニューカッスルの事例はLRTに対する直接的な反対運動ではないものの、LRT建設を優先させた行政と、鉄道存続を望む市民・鉄道利用者や鉄道従業員など、ステークホルダー間の対話のあり方に課題を残したことを示しており、宇都宮・芳賀地域においても、行政がLRTを推進するうえで教訓とすべきだと考える。

 宇都宮LRTをめぐっては、反対派グループが署名活動や反対活動を展開した。前出の上田代表は

「われわれのグループは、全体計画の検証なしで進められた諸手続き等の違法性を衝いて、特に、国土交通省がした施行認可の取り消しを求めて行政訴訟に訴えたが、三審とも原告適格なしとの理由で却下された」

と説明する。西側延伸についても

「仮に軌道事業の特許申請が認定され、施行申請が認可される場合は、その取り消しを求めて提訴することも選択肢のひとつとして検討せざるを得なくなる」(上田代表)

との考えを示す。

 筆者としては、ニューカッスルの教訓も踏まえて、ステークホルダー間の丁寧な対話を通して課題を乗り越え、多くのステークホルダーから共感される宇都宮LRTになってほしいと考える。

 西側延伸についても一日も早い完成を望むが、一方でステークホルダー全員一致の結論は不可能であることを前提として、可能な限り理解と共感を得るよう最大限の努力を払うことが大切ではないだろうか。宇都宮LRTの未来へと続く道のりはまだ始まったばかりだ。

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