北陸新幹線「敦賀延伸」 現状は金沢“独り勝ち” 福井県に正直勝ち目はあるのか?

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北陸新幹線が2024年3月、福井県敦賀市へ延伸する。福井県は観光客獲得で金沢独り勝ち状態を打ち破ろうと懸命の模索を続けているが、苦戦を避けられそうにない。

“金沢独り勝ち”の現実

北陸新幹線(画像:写真AC)
北陸新幹線(画像:写真AC)

 北陸新幹線が2024年3月、福井県南西部に位置する敦賀市へ延伸する。福井県は観光客獲得で“金沢独り勝ち状態”を打ち破ろうと懸命の模索を続けているが、苦戦を避けられそうにない。

 石川県金沢市発の在来線特急で敦賀市へ向かうと、田園風景のなかに新幹線の高架が見える。延伸開業は半年後。特急列車が敦賀駅ホームに到着すると、12階建てビルに相当する高さ約37mの巨大な新駅舎が目に飛び込んできた。

 新駅舎と反対側の西口を出て敦賀市中心部へ向かう。駅前にあるのが2022年に開業した再開発施設の「オッタ」。駅前ロータリーに面した天然芝の広場を囲むようにホテル、飲食店、公設民営の書店など多彩な施設が並ぶ。

敦賀市は開業準備着々

敦賀駅西口にオープンした複合施設の「オッタ」(画像:高田泰)
敦賀駅西口にオープンした複合施設の「オッタ」(画像:高田泰)

 西口から敦賀市を代表する観光地の気比(けひ)神宮へ向かう駅前大通りは、片側2車線の車道を1車線にして歩道を広げる工事が続いている。観光客らに市内を散策してもらうためで、完成は年末の予定。敦賀駅前商店街振興組合の河藤正樹理事長は

「拡幅された歩道でイベントを催したい」

と意気込んでいた。敦賀市には金沢市ほど有名な観光地はない。そこで、敦賀市は敦賀商工会議所や市内のNPO団体などと連携し、まちづくり推進会議を設立した。敦賀市新幹線誘客課は

「オール敦賀体制で観光客をもてなし、新幹線利用客を街に引き寄せたい」

と力を込める。

福井観光の拠点目指す福井市

福井市が福井観光の拠点と考える福井駅(画像:高田泰)
福井市が福井観光の拠点と考える福井駅(画像:高田泰)

 福井市では福井駅西口で再開発が相次いでいる。

 一部事業が延伸開業に間に合わなくなったが、駅前の通称三角地帯で米ホテル大手のマリオット・インターナショナルや商業施設が入る高さ120mの複合施設が、延伸開業に合わせてオープンする予定だ。

 福井市城戸ノ内町にある戦国時代の一乗谷朝倉氏遺跡には2022年、県立博物館が開設された。

 しかし、敦賀延伸が実現したあとも金沢市の独り勝ちが続き、福井市まで観光客が足を運ばないことを心配する声がある。福井市おもてなし観光推進課は

「市外の施設とも連携し、福井市が福井観光の拠点となれるように努めたい」

としている。

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