北陸新幹線「延伸」に大逆風 千年の都「京都」を脅かす地下水脈への打撃、市長も思わず釘刺し懸念の現実とは

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北陸新幹線は将来、京都、大阪方面まで接続すると考えられてきたが、ここにきて計画の難航が明らかになっている。いったいなぜか。

福井県にはメリットが小さい

北陸新幹線(画像:写真AC)
北陸新幹線(画像:写真AC)

 2015年に石川県の金沢駅まで延伸開業し、2024年春以降に福井県の敦賀駅まで開業する予定の北陸新幹線。将来は京都、大阪方面まで接続すると考えられてきたが、ここにきて計画の難航が明らかになっている。

 筆者(昼間たかし、ルポライター)がまず説明したいのは、開業に向けて工事自体は進んでいるものの、2024年の延伸開業はそもそも、福井県にとってメリットが小さいということだ。

 暫定的な終着駅のできる敦賀市は北陸・中京・関西方面の交通の要衝で、今でも鉄道・幹線道路の結節点となっている。しかしメリットは小さい。現在、東京方面に向かうためには滋賀県の米原駅で東海道新幹線に乗り換えて、最速で2時間41分かかる。一方、開業後の北陸新幹線を使って東京に向かう場合、最速で3時間17分もかかるのだ。これは福井県による試算である。

 もちろん、大阪・名古屋方面は現在の特急利用が最速のままだ。現地では「できても使わない」という声も聞かれている(『毎日新聞』2022年10月21日付福井版)。つまり、北陸新幹線の一部沿線では、京都・大阪に延伸開業し、関西方面と接続して

「初めてメリットが出る」

わけだ。ゆえに、敦賀駅以西への延伸の早期着工が望まれている。

 敦賀駅以西のルート決定までには、さまざまな議論があった。本来の整備計画では敦賀以西は若狭方面を経由するルートを想定していた。それに対して、関西では米原駅で東海道新幹線と接続する「米原ルート」を、福井県では整備計画通りの「若狭ルート」を提案した。

 他県からも米原ルートを推す声は強かったが、福井県は若狭ルートを主張。この若狭ルートが発展する形で、小浜から京都へ南下する「小浜・京都ルート」と、小浜から舞鶴経由で京都へ向かう「舞鶴ルート」の二案が浮上した。

 2016年12月に政府・与党の協議によって小浜・京都ルートの採用が決定。このルートが採用された背景には、沿線の働きかけとともに

「JR西日本が推した」

ことが大きかったとされている(『福井新聞』2019年2月3日付朝刊)。

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