鉄道テロ「車内監視カメラ義務化」で抑止になるか 小田急・京王事件 世界との違い
逮捕を恐れない“グレーゾーン”事件の犯人たち

一般犯罪の犯人は隠れるように犯行に及ぶ傾向が強いが、小田急・京王事件のように、犯罪ともテロともとれるようなグレーゾーン事件においては、実行犯たちは逮捕されることを恐れない。テロリストはあえてアピールするように犯行に及ぶ傾向すらある。つまり、監視カメラによる抑止ではなく、強制的に犯行を抑える手段が必要な場合があるのだ。
日本と一概に比較することはできないが、イスラム国(IS)などイスラム過激派によるテロに悩まされてきた欧米諸国では、もっと踏み込んだテロ対策が実行されている。この数年間に筆者は国際会議で欧州各地を訪れたが、たとえばローマの地下鉄車内や駅改札内では警察官が厳重に警戒していたし、各地で重武装した警察官の姿も見られた。怪しい動きをしている者には、すぐに近づいて尋問、場合によってはすぐに発砲もあり得るという緊張した雰囲気が駅構内に漂っていた。
実際、筆者はバチカンからローマ中心駅へ戻る際、下りと上りの電車を間違い、引き返そうとして途中駅で下車ホームから乗車ホームに移動する際、怪しい動きをしていたとみられたのか、武装した警察官が近づいてきて「どうした?」と尋ねられたのをよく覚えている。親切に道を教えようとしてくれたと思っているが、武装した大きな警察官が近づいてくると強い威圧感を感じた。まさに、日本ではないテロ対策の一環だろう。
2016年3月ブリュッセル同時テロ事件、2009年11月ロシア・特急ネフスキー脱線テロ事件、2004年3月マドリッド列車爆発テロなどのように、欧州では電車が標的とされるテロ事件が続いてきた。多くの市民が利用し、乗車も簡単な鉄道は必然的にテロの標的となるが、上述に照らせば、監視カメラの義務化だけで事件を防止できるかは分からない。
抑止効果は期待できるだろうが、ローマなどで実行されるような「見せる」「威圧する」警備というものも、あえてアピールするように犯行に及ぶ可能性も排除できない中では必要だろう。マンパワー的な問題があるので、全ての列車において実施するのは難しいと思われるが、少なくとも新幹線などでは、鉄道会社と警察とのこれまで以上の関係強化が望まれるところだ。