インドの庶民の足「リキシャ」 電動化で日本ベンチャーが存在感

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世界でクルマの電動化が進むなか、インドでは、二輪や三輪の「ライトモビリティ」のEV化が加速している。インドが抱える事情とEV化が進む背景とは。

「ライトモビリティ」のEV化が加速

E-リキシャ「Y4A」は最高25km/h、充電1回あたりの航続距離は80km(画像:テラモーターズ)。
E-リキシャ「Y4A」は最高25km/h、充電1回あたりの航続距離は80km(画像:テラモーターズ)。

 EVベンチャーのテラモーターズ(東京都千代田区)が2021年6月10日(木)、インド現地商況レポートを公開。これによると、「ライトモビリティ産業」において、同社が商業用EV三輪車(E-リキシャ)のインド国内シェアトップを獲得、維持していることが分かった。

 経済発展途上にあるインドでは、EV(電気自動車)の導入が急速に進んでいる。2019年から2020年にかけてのインドでのEV販売台数は38万台を記録。2027年には年間販売台数が634万台に達すると予想されている。

 人々の日常の足としては、自動車やバスとは別に、二輪や三輪のライトモビリティによる移動手段が定着している。通勤や通学、買い物などの短・中距離移動で活用されており、特にオート三輪の「リキシャ」(「人力車」が語源)は庶民のラストワンマイルの手段としての役割を担っている。

 二輪の市場規模は、ガソリン車が約2000万台、EVが約15万2000台で、用途は私用・公共移動・宅配。EV化が進行している。

 三輪は、従来のガソリンのオートリキシャは約60万台、E-リキシャは約10万台、Eオートは約5000台で、いずれも公共移動に使われている。今後もオートリキシャのEV化が進むとみられる。

 レポートでは、EV導入が加速する背景として、貿易赤字や大気汚染を挙げている。

 インドは世界第3位の石油消費国であり、石油輸入よる貿易赤字を抱えている。ガソリン車を規制し、石油消費を減らすことで、貿易赤字の解消につなげたい意図がある。

 また、同国では経済発展に伴い都市化が進み渋滞や大気汚染が悪化している。WHOの2020年調査では、世界でも最も汚染された20都市のうちデリーを含む14都市がランクインしている。

 このほか、世界における「脱炭素」の流れや時刻の産業振興も踏まえ、インド政府はガソリン車規制やEV補助金などによりEV化を後押しする政策をとっている。