トラックドライバーを冷遇するのに、医療従事者にはなぜかエールを送る人に欠けた「エッセンシャルワーカー認識」
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幅広い職種のエッセンシャルワーカー
新型コロナウイルス感染拡大時にはよく見かけたものの、5類に移行してからあまり見かけなくなったものがある。
それは、
「エッセンシャルワーカー」
という言葉だ。ところで、「トラックドライバーは、エッセンシャルワーカーである」といわれて、納得する人はどのくらいいるのだろうか。
エッセンシャルワーカーと聞くと、
「医療や福祉関連の従事者」
というイメージがある。詳しくその内容をひもといてみると、エッセンシャルワーカーに該当する職種が意外と多いことがわかるが、それもそのはずである。
というのも、私たちの生活や社会活動を維持するために不可欠なサービスの提供や、インフラに携わる人全てが当てはまるからだ(essential =必要不可欠) 。日本においては、
「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業で働く方々」
という、長ったらしい呼び名で新型コロナウイルス感染拡大時に厚生労働省が定義している。
五つの分類
この厚生労働省の定義にしたがうと、事業の継続が求められる事業者は五つに分類される。
●医療体制の維持
病院や薬局のほか、医薬品や医療機器の製造、入院患者への食事や物資、サービスにかかわる製造業なども含まれる。
●支援が必要な方々の保護の継続
高齢者、障害者の居住や生活支援に関する全ての事業。高齢者、障害者への食事や物資、サービスにかかわる製造業なども含まれる。
●国民の安定的な生活の確保
インフラ関係、飲食料品供給関係(農業、漁業、食品製造など)、生活必需物資供給関係、生活必需物資の小売関係、家庭用品のメンテナンス関係、生活必需サービス(ホテル、銭湯など)、ごみ処理関係、冠婚葬祭業関係、メディア、個人向けサービス
●社会の安定維持
金融サービス、物流・運送サービス、国防に必要な製造業やサービス、企業活動や治安の維持に必要なサービス、安全安心に必要な社会基盤、行政サービス、育児サービス
●その他
医療、製造業のうち、設備の特性上生産停止が困難なものなど
物流・運送サービスを行うトラックドライバーは、「社会の安定維持」に分類されているが、実際には「医療体制の維持」「支援が必要な方々の保護の継続」「国民の安定的な生活の確保」にも関係しており、運ぶ人がいなければ社会が成立し得ないといっても過言ではない。
にもかかわらず、エッセンシャルワーカー内で“謎の格差”がある。