タワマン乱開発の深刻な「副作用」 居住世代の偏向&来たる急激高齢化、持続可能な都市は本当につくれるのか?

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地価上昇は人口減少のなかで起こっており、全国で力強い需要が続くことは考えにくい。新たに発展する地域の裏には衰退する地域がある。持続可能な都市はつくれるのか。

止まらないタワマン建設

タワーマンション(画像:写真AC)
タワーマンション(画像:写真AC)

 先日、地方圏の地価が31年ぶりに上昇したというニュースが流れた。地方でも利便性の高い地域や新たな工場の立地が決まっている地域などで地価の上昇が見られたという。

 しかし、この地価上昇は人口減少のなかで起こっており、全国の幅広い地域で力強い需要が続くことは考えにくい。新たに発展する地域の裏には衰退する地域があるはずなのである。今回はこの問題について、日経新聞社編『限界都市 あなたの街が蝕まれる』(日経BPマーケティング)を通して考えてみたい。

 本書は2019年の2月に刊行されている。その頃からコロナ禍を挟んで続いているのが、都市部でのタワーマンション(タワマン)建設だ。こうしたタワマンの増加の裏には

「職場の近くに住みたい」

という需要があるわけだが、国や自治体の政策という要因もある。

 国や自治体は再開発のために市街地再開発事業を行っているが、本書によると、1991(平成3)~2020年(予定含む完工ベース)の市街地再開発事業において、タワマンを含む割合は上昇し続けており、2016~20年では50%以上の市街地再開発事業にタワマン建設が含まれているのだ。

 商業スペースやオフィスが埋まりにくくなっているなかで、中心をタワマン建設に据えるケースが増えている。東京都国分寺市の国分寺駅北口の再開発事業でも、リーマンショックの影響で商業ビルが想定価格で売れなくなったためにタワマンに衣替えしている。

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