タワマン乱開発の深刻な「副作用」 居住世代の偏向&来たる急激高齢化、持続可能な都市は本当につくれるのか?
地価上昇は人口減少のなかで起こっており、全国で力強い需要が続くことは考えにくい。新たに発展する地域の裏には衰退する地域がある。持続可能な都市はつくれるのか。
タワマンのもたらす「ひずみ」

タワマンは人口増加をもたらすが、さまざまなひずみももたらす。
タワマンが林立していることで有名な武蔵小杉では、武蔵小杉駅の改札に入るために通勤時間帯には長蛇の列ができ、武蔵小杉のある川崎市中原区では待機児童問題が深刻になった。他の地域でもタワマン建設とともに子どもが増えて小学校が手狭になってしまい、運動会を2部制で開催せざるを得ない小学校もあるという。
タワマンの問題のひとつに住民が
「特定の世代に固まりやすい」
ということがある。タワマンによって増えた子どもに合わせて保育園や小学校を新設したとしても、10年後にはすっかり子どもがいなくなってしまうということもあり得るのだ。
都市部でのトレンドがタワマンだとすれば、地方でのトレンドが
「コンパクトシティー」
である。将来、あるいは現在進行系の人口減少に対応するために、都市の機能や住民をできるだけ中心部に集めるための施策が行われている。
このコンパクトシティーの先進的な事例として知られているのが富山市だ。「持続可能な都市経営」を掲げる森雅志市長が2002(平成14)年からさまざまな取り組みを行ってきている。
特に旧JR富山港線を次世代型路面電車(LRT)に生まれ変わらせた富山ライトレールは、コンパクトシティーの大きな目玉となっており、旧路線に比べて利用者も大きく増えた。
このほかにも、中心市街地や公共交通沿線への住宅誘致政策も行っており、住宅の建設会社や購入者に補助金を支給することで、中心部ではマンション建設も進むなど一定の効果が出ている。