タクシー業界は本当に「既得権益」なのか? ライドシェア議論活発化&神奈川版構想登場で改めて問う
一般ドライバーが自家用車を使って有料で客を運ぶ「ライドシェア」。神奈川県の黒岩祐治知事が県内で「神奈川版ライドシェア」を実施する構想を示し、さらなる注目を集めている。
規制緩和で事故「6.2%増」

タクシー業界では2002(平成14)年、道路運送法が改正施行され、新規参入や運賃設定の規制が緩和された。結果、交通事故が増加した。『読売新聞』2006年8月26日付朝刊では、タクシーとハイヤーが原因となった交通事故は2002年から2005年にかけて
「6.2%」
増加したとし、こう記している。
「背景には、新規参入で運転技術が未熟なドライバーが増えているうえに、運賃値下げに伴う収入減を補うために長時間運転せざるを得ないという事情がある」
さらに、全国各地ではタクシー台数が増加したことで、ドライバーの収入が減少した。これを受けて、2008年7月に国土交通省は方針を転換。局長通達で、タクシーの参入・増車の規制を行った。この後、2009年10月には「タクシー適正化・活性化法」によって供給はさらに抑制された。
2015年2月、ウーバーが福岡市と周辺市町でライドシェアサービスの実証実験を開始したが、国土交通省はすぐに「白タク」と判断し中止させている。
さらに、2018年には新経済連盟が、2020年には経済同友会が、ライドシェアの導入を要求したものの実現には至っていない。国土交通省は一貫してライドシェアに反対しており、8月25日には斉藤鉄夫国交相が
「安全確保に問題点がある」
として、改めてノーを突きつけている。
斉藤国交相の発言は、2002年から数年にわたった規制緩和が業界を荒廃させ、利用者に不利益をもたらしたことへの弊害のインパクトを物語っている。決して「既得権益」ではなく、旅客を運ぶ以上は法律によって厳しく規制されるのは当然である。