Amazonプライム会費は今後も値上がる? 「年1000円アップ」はまだ甘いのか、背後にあった物流危機とドローン計画難
アマゾンは2013年からドローン配送サービスを開発している。発表から10年もたてば進展があるかと思いきや、なかなかうまくいっていないようだ。
国内のドローン配送事情

一方、日本におけるドローン配送の現状はどうなっているのだろうか。
政府は、物流ネットワークを維持するため、ドローン配送の社会実装を推進する意向である。2022年12月には、有人区域でのドローンの目視外飛行(操縦者がドローンを直接視認しない状態で飛行させること)が解禁された。各地で社会実装に向けた実証実験が行われている。
2023年6月、イオンリテール、JAL、KDDIスマートドローンは三者協定を締結した。早ければ2025年、長野県下諏訪町にドローン発着場を備えた新店舗がオープンする。実証実験を通じて、諏訪湖を越えて対岸の家庭に荷物を届けるのが狙いだ。
ドローン配送の構想自体は数年前から日本でも進められているが、実現には問題がある。第一の問題は、土地が狭いことだ。米国では広大な敷地があるが、日本では多くの住民がマンションやアパートに住んでいる。家と家の間隔も狭く、一軒家でも庭がない場合がある。そのため、ドローンを安全に降ろせるスペースの確保が難しいといわれている。
米国と同様、安全・セキュリティーの問題に加え、飛行禁止区域も問題となる。日本では、
・空港等の周辺
・国の重要施設上空
・緊急用務空域
・150m以上の上空
・人口集中地区
は原則飛行禁止で、ドローンを飛ばすには許可が必要だ。かなり広い地域が該当し、これらの地域を避けると配送時間に影響が出る。配送ルートや地域ごとのルール策定など、きめ細かな対応が求められる。
米国は日本よりも国土が広い。ドローンで警察のパトロールが行われている地域もある。そんな米国の状況を見ていると、米国ですら難しいとされているドローン配送が、日本でスムーズに導入されるのだろうかと心配になる。