Amazonプライム会費は今後も値上がる? 「年1000円アップ」はまだ甘いのか、背後にあった物流危機とドローン計画難

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アマゾンは2013年からドローン配送サービスを開発している。発表から10年もたてば進展があるかと思いきや、なかなかうまくいっていないようだ。

米国のドローン配送事情

「Amazon Prime Air」ドローンの最新デザインMK27-2(画像:アマゾン)
「Amazon Prime Air」ドローンの最新デザインMK27-2(画像:アマゾン)

 次に人手不足の解決策として思い浮かぶのは、日本でもよく話題になるドローン配送だ。アマゾンも2013年からドローン配送サービスを開発している。発表から10年もたてば進展があるかと思いきや、なかなかうまくいっていないようだ。

 2020年8月に連邦航空局(FAA)の認可を受け、2022年6月に米カリフォルニア州ロックフォードでドローン配送を開始したアマゾンのドローン配送サービス「Amazon Prime Air」。注文から1時間以内に荷物を届けるという画期的なサービスは大きな反響を呼んだ。しかし発表後、ロックフォード市民から困惑の声が上がった。

 アマゾンはこの計画について地元当局と協力していたが、ほとんどの住民は6月の発表で初めて知った。ロックフォードは牧場やブドウ畑などの農地が多い田舎町だ。突然の発表に、

「安全性やプライバシーはどうなるのか」
「家畜に悪影響はないのか」
「地元産業に大打撃を与える」

といった否定的な意見が多く寄せられた。

 FAAの厳しい規制もまた、Amazon Prime Airにとってのハードルとなっているようだ。FAAはドローンの

・道路を横切る飛行
・人の近くでの飛行
・人口密集地帯での飛行

を禁止しているため、拠点から配送できる地域がかなり制限される。アマゾンはFAAに規制緩和を申し入れているが、FAAはアマゾンのドローンが山火事に巻き込まれた落下事故を起こしており、安全性を証明する必要があるとして、まだ規制を緩和していない。

 アマゾンは当初、2023年末までに1万件のドローン配送を行うという目標を明らかにしていた。しかし、同年5月時点では100件にとどまっており、8月には主要幹部ふたりが退職したと報じられており、Amazon Prime Airの状況は引き続き厳しいと予想される。

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