アマゾン・メルカリをさんざん使っておきながら、配達員の「待遇」にはそっぽを向く一般消費者たち
消費者向けEC市場規模は13兆円超
新型コロナウイルスの感染拡大以降、宅配便などの小口配送(多くの配送先に対して荷物を少量ずつ配送すること)の増加が著しい。
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アマゾンやメルカリを始め、現代人の誰しもがなんらかの形で小口配送を利用している。週に数回、多ければ毎日通販で購入した荷物が届くのは、もはや日常的な光景だ。
実はコロナ以前から、小口配送は急速に増加していた。経済産業省の「電子商取引実態調査」によれば物販系分野のBtoC(消費者向け)のEC市場規模は2013(平成25)年に5兆9931億円だったものが、2021年には
「13兆2865億円」
と急増している。市場の拡大とともに、運ばれる荷物の数も一貫して増えていた。
国土交通省の2021年度「宅配便等取扱個数の調査」によれば年間の宅配便合計数は調査を始めた1992年には12億4500万個だったものが2021年には49億5300万個(398%)にまで増えている。
「荷台スカスカ」で走るトラック
小口配送が増えたことによって、貨物輸送は1件あたりの貨物量が減る「小口多頻度化」が進んだ。
国土交通省の「全国貨物純流動調査(物流センサス)」によれば、4産業(鉱業、製造業、卸売業、倉庫業)の出荷1件当たりの貨物量は1990年は2.24t/件だったものが、2021年調査では0.70t/件となっている。また「自動車輸送統計年報」によれば2010年代以降、貨物自動車の積載率は40%以下で推移していることも明らかになっている。
つまり、インターネット通販の普及で取り扱う荷物が増えているが、その輸送は極めて非効率であることがわかる。イメージとしては貨物トラックの中に行き先がバラバラな荷物が混在され、荷台もスカスカなまま走っているという感じだ。
経済産業省と国土交通省・農林水産省が2022年9月にまとめた「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」では、この非効率的な状況を示した上で物流の効率化が急務であることを提言している。
とりわけ、この資料では新型コロナウイルス感染拡大前には宅配便のうち全体の約15~16%で不在再配達が行われていたことを指摘している。その上で感染拡大以降、1回で受けとられる荷物が増えているとはしながらも、今後のEC市場拡大と労働力不足が懸念されることから、さらなる再配達の削減が必要であると結論づけている。