「北陸鉄道石川線」存続へ ジリ貧回避に抜本対策必要も、自治体は多額の持ち出し覚悟できるのか
利用低迷で存廃協議が進められていた石川県の北陸鉄道石川線が存続と決まった。だが、金沢市中心部への延伸など抜本的な対策が講じられなければ、ジリ貧を逃れようもない。
北陸本線乗り入れにも難題山積

だが、香林坊延伸は一筋縄でいきそうもない。北陸鉄道の財務状況を考えると自治体主導で整備することになりそうだが、石川線を現在の鉄道形態で延伸するとなれば、途中にある川幅約60mの犀川に鉄橋を架け、繁華街や住宅密集地で用地買収しなければならない。相当な費用と時間を覚悟する必要がある。
これとは別に、石川線を次世代型路面電車(LRT)化してかつての路面電車と同じルートで香林坊へ乗り入れる方法が考えられる。しかし、国道157号が通る犀川大橋は対面通行の片側2車線。LRTの軌道を通せば渋滞が深刻化することは明らかだ。
整備費も気にかかる。8月に開業した栃木県の宇都宮ライトレール14.6kmの総事業費は684億円。1km当たりに換算すると
「47億円」
がかかった計算になる。金沢市は全国に62ある中核市のなかで財政力が劣るほうではないが、人口減少が進むなか、今後、社会保障費の急増が予想されている。重い負担になることは間違いない。
北陸本線乗り入れにも課題がある。石川線の線路は幅1067mmの狭軌で北陸本線と同じだが、北陸本線が交流電力を使用しているのに対し、石川線が使うのは直流電力。乗り入れには車両の切り替えが必要だ。しかも、西金沢駅は北陸本線に並行して北陸新幹線の高架が通っているため、高架の狭い橋脚間に線路を通さなければならない。
公共交通の維持を民間任せで済ませられる時代ではなくなった。3市は香林坊延伸や北陸本線乗り入れを中長期的な課題と位置づけているが、そう遠くない時期に抜本的な対策に向けて多額の持ち出しを覚悟するかどうか、決断を迫られそうだ。