京都を襲う「タクシー絶対不足」 観光公害でお盆も大混乱、「全然捕まらない」と悲鳴が上がった一部始終とは
西日本各地でお盆の間、「タクシーが来ない」という悲鳴が相次いだ。乗務員不足が原因で、かつてない酷暑の中、観光客がタクシー乗り場で待ちくたびれる姿が目についた。
薄給と不規則勤務で若者が敬遠

タクシー乗務員はコロナ禍で売り上げが激減し、大量離職が相次いだが、それ以前から減少傾向が続いていた。不規則な勤務や低い給与が敬遠されてきたためだ。全タク連によると、2022年6月の超過勤務を含めた平均月間給与は29万4100円。全産業労働者平均より
「4万6000円」
も低い。
乗務員の高齢化も深刻だ。厚生労働省によると、平均年齢は60歳を超えている。定年退職後の仕事としてタクシー乗務員を選ぶ人が多いのも一因だが、若者の目に魅力ある職場と映っていないのは確かなようで、タクシー乗務に必要な二種免許保有者がこの10年で26%も減っている。
最低保障給与を大幅に引き上げて乗務員確保に乗り出す大手事業者もある。だが、近隣の事業者からベテラン乗務員を引き抜くだけの結果になり、地域全体の乗務員数を増やす効果が見られない地域が少なくない。
発展途上国ならぬ
「衰退途上国」
とやゆされる日本にとって、外国人観光客が戻ってきたことは明るい話題といえるが、タクシー乗務員不足が常態化すれば日本を敬遠する材料になりかねない。観光公害ともいえる市民生活への悪影響も解消する必要がある。
解決策として外国人乗務員の拡大やライドシェアの解禁を求める声が出ているが、どこまで不足を補えるかは読みにくい。人口減少と高齢化社会の進行が続くなか、タクシー乗務員不足は解消の決め手がないまま、今後さらに深刻さを増しそうだ。