物流クライシスは政府の「自作自演」か? 屈さず生き残るために、運送会社の代表は「原価計算力」を学べ

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「物流の2024年問題」を筆頭とする物流クライシスを乗り越えるため、今こそ求められているのが、運送会社の経営チカラ向上である。これなくしてドライバーの収入アップは実現できるわけがない。

中小企業経営者の実態

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 今から10年ほど前になるが、ある業界紙の記者から電話をもらった。

「◯◯県トラック協会で、先日原価計算セミナーを行ったのをご存じですか? いや、もう、ガッカリしちゃって……」

 このセミナーには、前代未聞の大入りだったという。セミナーを取材した記者は、まず、経営の基本である原価計算のセミナーに群がる運送会社の社長たちに幻滅し、そしてその内容にも幻滅した。記者によれば、その内容はあまりにも初歩的なものだったという。

「皆さん、本当に原価計算をしてこなかったんですね……」

 同じような経験は、筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)もしたことがある。運送会社が集まるパーティーで、ある運送会社社長と話していたときのことだ。

「社長、もうかっていますか?」

あいさつ代わりに問うた筆者に、この社長はこのように答えた。

「もうかってるよ。銀行通帳の残高はマイナスになっていないから」

冗談だと思った。そもそも酒の入っている席での会話であり、筆者も本気でもうかっているかどうかを聞きたかったわけではない。ところが、周りにいた他の社長らも、口々に

「うんうん、ウチも通帳はマイナスになっていないから大丈夫だな」

といい始めたのだ。

 すると、ある社長がこのように発言したのだ。

「ま、税理士がOKっていってるから、ウチは大丈夫なんだろうよ」

ウチもウチも、と声を合わせる社長らに面食らった筆者は、ついこういってしまった。

「ずいぶん、税理士さんを信頼されているんですね」

つい皮肉っぽいことを口にした筆者は、別の社長にくぎを刺されてしまった。

「……いや、中小企業の社長なんてこんなもんだぞ」

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