物流ジャーナリストの私が「トラック高速道路無料化」に断固反対するワケ

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「トラックの高速料金を無料化してほしい」、このような要望が、一部の運送事業者から聞こえてくる。運送会社の苦しい台所事情を鑑みれば、気持ちはわかる。だが本当に目指すべきは無料化なのだろうか。

目指すべきは「荷主負担の義務化」

高速道路を走るトラック(画像:写真AC)
高速道路を走るトラック(画像:写真AC)

「営業用トラックに限り、高速道路の通行料金を無料化してほしいよなぁ」。筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)は、先日も知己の運送会社役員からこのようなボヤキを聞いた。気持ちはわかる。

 例えば、トラックの燃料となる軽油価格だが、5月24日の全国平均小売価格は1Lあたり148円である。2年前(2021年5月24日)が133円だったから、1割以上価格上昇した計算だ。ちなみに、10年前となる2013年5月20日の軽油価格は132円。30年前の1993(平成5)年5月24日の価格は77円だった(いずれも出典は経済産業省資源エネルギー庁)。

 運送会社を苦しめているのは、燃料代の高騰だけではない。トラックドライバー不足による賃金の上昇、採用コストの増加など、運送会社の台所事情は苦しくなるばかりである。
「高速道路料金、タダにならないかな……」

とボヤきたくなる気持ちはよくわかる。

 だが筆者は、目指すべきは高速道路通行料金の無料化ではなく、

「荷主負担の義務化」

だと考えている。その理由は、実現可能性と受益者負担の基本原則だ。

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