ビッグモーター問題、「不正車検」「保険金不正請求」を混同してはいけない! 刑事告発も時間の問題 ゆえに冷静さが必要だ
中古車販売大手ビッグモーターを巡る問題は、単なる不正などで処理すべき問題ではない。先の不正車検にともなう行政処分と今回の保険金不正請求はしっかりと分けて考えなければいけない。
地域密着型から「ブラック企業」へ

ビッグモーターがなぜこうした不正に手を染めることとなったのか、ということについて、全貌の解明はまだこれからである。しかし特別調査委員会の聞き取りに対して、ようやく重い口を開いた現場の関係者は、上からの厳しい締め付けを理由に挙げているともいわれている。
1976(昭和51)年に山口県岩国市で兼重オートセンターとして創業したビッグモーターは、当初はあくまでローカルな中古車販売会社だった。しかしバブル期にその経営規模は大きく拡大することとなる。
これを好機と見た経営陣は、21世紀に入るとさらなる営業規模の拡大に着手することとなる。その結果が現在の北海道から沖縄まで263店舗。従業員総数約6000人という姿だったというわけである。
しかしこうした際限のない拡大政策は、経営に対して次第に深刻なひずみを生むこととなる。折しも日本経済は少子高齢化の影響で中古車販売には逆風となっていった。そうしたなか、ビッグモーターは当初からの営業拡大姿勢を変えることはなかった。その結果が営業全般における厳しいノルマの設定というものだった。
ノルマを達成できなかった部署と従業員には厳しい処分が科されていたともいわれている。要するに創業時の地域密着型中古車販売業から、
「典型的なブラック企業」
へと転落していたということである。
経営が行き詰まっていたからといって、不正という名の犯罪に手を染めていいという話ではない。車検の不正は
「道路運送車両法違反」
で行政処分の対象である。対して保険金の不正請求と保険金の受け取り。それに至るまでの車両損壊はいずれも既述した通り詐欺と器物損壊という刑事処罰の対象そのものである。会社の上層部の命令でそれが行われていたとしたら、経営陣全体でその責任は負わねばならない。