中国の激安EV「宏光MINI」 販売台数28か月連続1位も、あえなく急失速した4つの致命的理由
SGMWの宏光MINIは2年4か月にわたって売れに売れ続けた。しかし2022年11月頃からその販売台数に陰りが見え始めた。いったいなぜか。
2022年総販売台数は55万台以上

中国の自動車メーカー・上汽通用五菱汽車(SGMW)の宏光MINIといえば、2020年7月の発売開始以来、電気自動車(EV)における価格破壊の旗頭として中国市場を席巻していた。
最も安いグレードの価格は2万8800元(約57万円)で、車体のサイズは全長3m未満の長距離走行には向かない超小型車。スペック上の航続距離は120km程度で、最安値グレードにはエアコン装備なし――。要するに
「短距離移動需要」
を前提とした安価なモデルだった。
とはいえ、その価格はユーザーを驚かせるだけの強烈なインパクトがあった。エアコンを装備しバッテリーの容量を上げた航続距離170kmの上級グレードでも、その価格は日本円で10万円ほど上がるだけだった。
発売開始とともに宏光MINIの人気は爆発し、瞬く間に中国国内におけるベストセラーEVとなる。中国全国乗用車市場情報連合会(CPCA)のデータによれば、2022年の通年総販売台数は約55万4000台だという。もちろんEV部門の第1位である。
この数字は中国一であると同時に、小型EV分野に限っていえば
「世界一」
でもあった。この間の月間最高販売台数は5万600台に達していたといわれている。発売開始以来、28か月連続でEV販売台数1位を記録したこともうなずける、まさに圧倒的な人気だった。