テスラはなぜ「右ハンドル車」を生産終了するのか? 一見マイナス施策に見えるも、背後にちらつく販売戦略の根本転換

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テスラは同社の市販車中、モデルSとモデルXの右ハンドル仕様の生産終了を発表した。その背景には何があるのか。考察する。

テスラの“芸風”再び

モデルS(画像:テスラ)
モデルS(画像:テスラ)

 2023年5月12日、テスラは同社の市販車中、モデルSとモデルXの右ハンドル仕様の生産終了を発表した。これは生産終了日を明らかにした上での事前アナウンスではなく、発表の時点で既に生産終了済みというある意味唐突なものだった。

 この発表と同時に、既に右ハンドル仕様の各モデルをオーダー済みだった顧客に対しても、右ハンドル車は納車できない旨が伝えられたといわれている。

 テスラ側はこの措置に対して、希望者には左ハンドル車での慣熟試乗会を用意する。また、3年間のスーパーチャージャー(テスラ専用の急速充電器)無料利用権を付加するなどの特別優遇策を追加で発表した。

 しかしこうした優遇策が功を奏することはなく、右ハンドル仕様の納車を待っていた顧客の多くがキャンセルを選択しているという話も伝わって来ている。

 テスラという会社は何をするにしても予告なしで唐突というのは、もはや自他ともに認める“芸風”に近い。

 これまでも予告なしの価格変更などに驚かされた購入予定者は多かったはずである。しかし、予告なしでの右ハンドル車の生産終了というのはいかにも乱暴だ。なぜテスラはこうした措置を行ったのだろうか。

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