京葉線の中央線方面「延伸計画」 建設費は5000億円超? 国のお墨付きあっても経路図すら描かれない現実とは

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30年以上前から有望視され、国も実現に前向きながら、いまだ具体的な経路予定図すら描かれない新線構想がある。それは、東京都心を地下で貫く「(JR東日本)京葉線の(同)中央線方面延伸」だ。

「利便増進法」も“ウラ技”

東京(画像:写真AC)
東京(画像:写真AC)

 実際、今回のコロナ禍で鉄道利用客が急減した結果、地方の中小私鉄はもちろん、JR北海道やJR四国など経営基盤がもともと脆弱(ぜいじゃく)な“旧国鉄ファミリー”も既存の路線の維持・管理に悲鳴を上げている状況で、事態を重く見た政府は、上下分離方式を取り入れた救済策を模索し始めている。

 これを大手私鉄やJR各社の大都市圏での鉄道網整備にも積極活用すべき、という発想で、まだ実例は少ないものの、大阪の都心を走る京阪中之島線(2008年完成)や、同じく阪神なんば線(2009年完成)ですでに実施されている。

 また東京、大阪、名古屋の三大都市圏では複数の鉄道会社がそれぞれ個別に鉄道網を広げているが、こうした既存インフラを有効活用して利便性と速達性を高めることを目的とする「都市鉄道等利便増進法」も2005年に交付された。

 そしてこれに基づき、相模鉄道とJR横浜線との直結線建設(2019年)や、同様に相鉄と東急東横線との直結線建設(2023年)はこの法律を利用し、独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)、つまり国が建設と維持・管理を引き受け、各鉄道会社に線路を貸すという上下分離方式を採る。

「京葉線西方面延伸」でもこの法律を使って積極的に整備するというアイデアで、これならばJR東日本の負担は相当軽くなり、

「同社にとっても“おいしい話”へと早変わりするのではないか」

と期待する声も。

 とは言うものの、投入する巨額な建設費はやはり税金であり、「一部の利用者や大都市圏だけが恩恵にあずかるのはおかしい」と不公平の訴えもあるようだ。

 果たして「上下分離方式」は鉄道整備にとっての「福音」なのか、はたまた税金の無駄遣いを助長しかねない「悪魔のささやき」なのか、一体どちらなのだろうか。

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