京葉線の中央線方面「延伸計画」 建設費は5000億円超? 国のお墨付きあっても経路図すら描かれない現実とは

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30年以上前から有望視され、国も実現に前向きながら、いまだ具体的な経路予定図すら描かれない新線構想がある。それは、東京都心を地下で貫く「(JR東日本)京葉線の(同)中央線方面延伸」だ。

「上下分離方式」という“ウラ技”

羽田空港(画像:写真AC)
羽田空港(画像:写真AC)

 そこで一部では

「上下分離方式による鉄道インフラの積極整備を国が音頭を取って行うべきだ」

との声も出始めている。「上下分離方式」とは鉄道路線のインフラ部分(下部分)の建設や維持、修繕などを国や自治体が受け持ち、鉄道会社はこのインフラを借りて列車を走らせる(上部分)という立て付けで、まさに“ウラ技”である。

 航空業界では当然の話で、「空港」というインフラは国や自治体などが建設・維持・管理し、エアラインは利用する空港の発着回数に応じて空港使用料を支払うのが普通である。航空会社が自前で空港をつくり運営している、という話は世界的にもあまり聞いたことがない。

 実は、鉄道の上下分離方式は欧米を始め世界的には一般的で、逆に日本のように鉄道インフラの建設や所有・維持までも鉄道会社が行うのが大半という方が珍しい。

 このため、鉄道業界からは

「このままではガラパゴス化してしまう。高度成長期で人口も右肩上がりなら何とかなるが、これからは日本の鉄道会社は莫大(ばくだい)な投資を必要とする新線開発を敬遠するばかりで、それどころか大手鉄道会社ですら既存の鉄道路線の維持も困難になり、国際競争力の低下や国民生活の不便さへと直結し、やがて日本は衰退してしまう」

と警鐘を鳴らす向きも。

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