京葉線の中央線方面「延伸計画」 建設費は5000億円超? 国のお墨付きあっても経路図すら描かれない現実とは
JR東は新線開発への巨費投資に消極的

「京葉線西方面延伸」を引くメリットとして同答申は、
1.中央線の混雑緩和
2.東京都西部(多摩地区)や千葉方面と都心部とのアクセス利便性の向上
3.湘南新宿ラインや上野東京ラインによる高速南北線と遜色のない高速東西軸の形成
の3点を挙げる。
注目は「3」で、現在JR千葉~三鷹間の場合、快速電車でJR錦糸町駅まで行き、各駅停車に乗り換えてJRお茶の水駅で中央線快速に再び乗り換えという風に、2度も乗り換えが必要で、所要時間は1時間20分弱だ。また「乗り換えは面倒」と全線を各駅停車で我慢する利用者も少なくなく、この場合の乗車時間は約1時間40分となる。
仮に「京葉線西方面延伸」が完成し、快速や特急が走れば、所要時間で1時間どころか
「30分台」
をたたき出すのも夢ではない。
こうなれば東西の人の動きも劇的に変わり、経済波及効果も大きいはずだ。ただしこれには、京葉線と総武線を直結する「総武・京葉短絡線」の建設も必須だろう。
ところが、肝心のJR東日本は採算を取るのが難しいとして消極的だ。少子高齢化・人口減でただでさえ鉄道利用者が落ち込んでいる状況では、新線開発による収益増は望み薄だとJR東日本の経営陣が考えるのも無理はない。
ましてや投資額は数千億円と巨額ならなおさらで、かつての国鉄時代ならば国が税金で尻拭いするが、現在はれっきとした株式公開企業である。国の思惑やロマンだけで新路線を敷設するなど言語道断で、万が一そんなことをすれば、経営陣は即座に指弾され、株主に訴訟を起こされてしまう。
同社は、2018年から推進する中長期経営計画「グループ経営ビジョン『変革2027』」のなかで、「鉄道輸送会社」から
「鉄道インフラを使った総合サービス会社」
へと脱皮することを明確に打ち出している。そして年間連結営業収益に占める「運輸」と「非運輸」の割合が、現状の「7対3」から2027年度には
「6対4」
になると想定しているほどだ。